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公認会計士の登録をするには

公認会計士の資格を取得してもそのままでは公認会計士と名乗ることはできません。
公認会計士となるには、登録手続きが必要になります。
登録手続は必要書類を所定の機関へ提出(登録申請)することにより行われ、通常1~2ヶ月程度で完了します。

公認会計士登録の3要件

公認会計士になるには公認会計士名簿に登録し、日本公認会計士協会に入会することが必要となります。
この時、公認会計士名簿に登録するには次の三要件を満たしている必要があります。

  • 公認会計士試験に合格した者(全科目免除者を含む)であること
  • 業務補助又は実務従事の期間が通算して2年以上である者であること
  • 実務補習を修了し、内閣総理大臣の確認を受けた者であること

なお、この要件は、終了考査に合格している人であるならば基本的に満たしています。

登録申請と手続

公認会計士として登録するための公認会計士名簿は、日本公認会計士協会に備えてあります。
登録する場合は、登録申請書に公認会計士となる資格を有することを証明する書類を添付して、日本公認会計士協会に提出します。

登録申請書に添付する必要書類

登録申請書に添付する書類としては、写真、履歴書、戸籍謄本等、住民票のコピー、実務補修修了確認通知のコピー、業務補助等報告書のコピー、公認会計士試験合格証書のコピーがあります。

登録手数料

登録する際、次のような手数料がかかる場合があります。

開業登録

公認会計士として開業する場合の登録です。

  • 公認会計士及び外国公認会計士:無料
  • 会計士補:1万円
変更登録

開業登録時におけr起債に変更が生じたときに行うものです。

  • 公認会計士及び外国公認会計士:3,000円
  • 会計士補:2,000円

登録拒否

登録は必ず受理されるというわけではなく、次のようなケースの場合、登録が拒否される場合があります。

  • 懲戒処分により、税理士、弁護士、外国法事務弁護士又は弁理士の業務を停止された者で、現にその処分を受けているもの
  • 心身の故障により公認会計士の業務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者又は公認会計士の信用を害するおそれがある者

登録の抹消

公認会計士名簿に登録されると、同時に日本公認会計士協会の会員となります。
この時初めて、公認会計士として公認会計士の業務を行ったり、公認会計士と名刺に書くことができます。
しかし、業務を廃止したり、公認会計士が死亡したりすると登録は抹消されます。
逆にえば、登録が抹消されない限り、公認会計士であり続けます。

修了考査とは

修了考査は、実務補習規則に基づき、実務補習団体等の受講者が実務補習の内容全体について適切な理解がなされているかどうかの確認及び職業専門家としての実務的な専門能力と適格性の確認を目的とし、日本公認会計士協会が統一的に実施するものです。
実務補習に付属する卒業試験のようなものであるので、国家試験ではありません。
また、修了考査は年1回、例年12月中旬の2日間に渡って行われ、この終了考査に合格することで公認会計士資格を取得できます。

修了考査の試験科目

修了考査の試験科目では、下記の5科目が出題されます。

  • 会計に関する理論及び実務
  • 監査に関する理論及び実務
  • 税に関する理論及び実務
  • 経営に関する理論及び実務(コンピュータに関する理論を含む。)
  • 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理

会計に関する理論及び実務

実務としての会計業務に必要とされる専門的応用能力を修得しているかどうかの確認を行うことを目的とし、日本における会計実務全般について出題されます。
主な出題範囲は次の通りです。

  • 企業会計審議会が設定した企業会計に関する原則、基準、取扱い
  • 企業会計基準委員会が設定した会計基準、適用指針、実務対応報告
  • 金融商品取引法に基づく会計に関する関連法規、ガイドライン
  • 会社法に基づく会計に関する関連法規
  • 日本公認会計士協会会計制度委員会報告 等

監査に関する理論及び実務

実務としての監査業務に必要とされる専門的応用能力を修得しているかどうかの確認を行うことを目的とし、日本における監査実務全般について出題されます。
主な出題範囲は次の通りです。

  • 監査基準、中間監査基準、四半期レビュー基準、財務報告に係る内部統制基準・実施基準
  • 財務諸表等の監査証明に関する内閣府令・同ガイドライン
  • 会社法に基づく監査に関する関連法規
  • 日本公認会計士協会監査基準委員会報告書、監査・保証実務委員会報告、その他の監査に関する委員会報告 等

税に関する理論及び実務

公認会計士が行う業務で必要とされる税に関する専門的応用能力を修得しているかどうかの確認を行うことを目的とし、企業に関係する税を中心に出題されます
主な出題範囲は次の通りです。

  • 法人税に関する実務
  • 所得税に関する実務
  • 消費税に関する実務
  • 相続税に関する実務
  • 地方税に関する実務
  • その他の公認会計士が行う業務で必要とされる税に関する実務 等

経営に関する理論及び実務

ビジネスに関する専門知識及び法令による企業に対する規制に関する専門知識を修得しているかどうかの確認を行うことを目的に出題されます。
また、コンピュータに関する理論も含みます。
主な出題範囲は次の通りです。

  • 財務分析を中心とした企業分析の実務
  • 企業評価の実務
  • 企業におけるリスク管理
  • 企業におけるITの利用
  • 金融商品取引法による企業に関する規制
  • 会社法による企業に関する規制 等

公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理

公認会計士が行う業務で必要とされる職業倫理等の規制及び法令による公認会計士に対する規制を修得しているかどうかの確認を行うことを目的に出題されます。
主な出題範囲は次の通りです。

  • 公認会計士法、同施行令、同施行規則
  • 日本公認会計士協会会則、倫理規則、独立性及び職業倫理に関連する適用指針、解釈指針
  • 金融商品取引法による監査人に関する規制
  • 会社法による監査人に関する規制 等

修了考査の合格率

了考査の合格率は、概ね70%です。
つまり、難関試験に合格し、実務経験を積みながら、補習所で3年間講義を受けて修了考査を受けながら、 3割の人が国家資格である公認会計士になる資格を有しないという、かなり厳しい現実があるようです。

実務補習とは

公認会計士試験の合格後、一定期間をかけて実務補習所というところに通い、実務補習を受ける必要があります。
実務補習は日本公認会計士協会が主催する講義を受講する形式で行われ、実務を行ううえで必要となる会計・監査に関する知識を習得することを目的としています。
また、評価方法は単位制を採用しており、講義への出席や「考査」と呼ばれる定期試験の得点により単位が付与されます。
必要な単位数を取得することで「修了考査」を受験することができます。

実務補習の概要

実務補習の期間は3年間で、公認会計士となるのに必要な技能習得のために、実務補習団体等が主催する実務補習所(実務補習所は東京、東海、近畿、九州にある)にて行われます。
実務補習団体等には日本公認会計士協会が認定されており、日本公認会計士協会が主催する講義を受講する形式で行われます。
必要単位を収めると、修了考査の受験資格が与えられます。
なお、この実務補習は、ほとんどの人は監査法人に勤務しながら同時並行で行うことになります。

実務補習の内容

実務補習の内容は実務補習規則で次のように定められています。

  • 会計に関する理論及び実務
  • 監査に関する理論及び実務
  • 経営に関する理論及び実務
  • 税に関する理論及び実務
  • コンピュータに関する理論及び実務
  • 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理
    • 実務補習の方法

      実務補習では、講義、実地演習、考査(試験)、課題研究、修了考査が行われます。
      単位、時間としては、1単位が1時間ということで、講義が360時間、考査が100時間、課題研究が60時間となります。
      このすべての単位を取得した場合のみ、最後の修了考査を受験する資格が与えられます。

業務補助とは

公認会計士試験に合格した後、2年以上の「業務補助等」を行うことがいつ様になります。
業務補助等とは、「公認会計士や監査法人を補助すること(業務補助)」または「財務に関する監査、分析その他の実務に従事すること(実務従事)」をいいます。業務

業務補助の概要

業務補助は、監査法人や会計を専門的に行っている企業に就職して、実際の仕事を通して公認会計士としての実践的な知識や技術を身につけます。
この時、常勤、非常勤は問われませんが、1年につき2以上の法人(当該法人が金融商品取引法に規定する上場会社等や会社法に規定する大会社など、公認会計士又は監査法人の監査を受けることとなっている場合には1社以上)の監査証明業務を対象として行わなければなりません。
また、一般的な会計士のように監査法人に入って監査をする事の他に、銀行業務や大会社の経理部などでの財務分析業務に従事することも含まれています(単なる記帳業務は不可)。

業務補助の具体的な内容

実務従事に該当する場合の具体例は次のようなものがあります。

法令で定められた民間企業の業務

  • 資本金額5億円以上の法人において、原価計算その他の財務分析に関する事務
  • 銀行や信託会社等において、貸付け、債務の保証その他これらに準ずる資金の運用に関する事務

一般企業の業種は問われませんが、単純な経理や記帳などは不可となっており,経理部や財務部で財務分析の仕事に従事している必要があります。
具体的には、決算業務、予算実績管理業務、工場経理業務、大会社の財務分析業務、株式公開準備業務、内部統制に関する業務、工事原価算定などがあります。
また、銀行などの金融機関(信託、証券、保険等)で、貸付け、債務の保証その他これらに準ずる資金の運用に関する事務には、法人融資業務を担当する、資産運用のための財務内容調査業務、社内格付け、業界レポート作成なども含まれます。

法令で定められた公的機関の業務

  • 国又は地方公共団体の機関において、国若しくは地方公共団体の機関又は資本金額5億円以上の法人の会計に関する検査若しくは監査又は国税に関する調査若しくは検査の事務

公務員として会計検査、税務検査に従事することで、具体的実例としては、国税局において税務調査業務、県庁において市町村の財務監査、地方交付税検査業務等があります。

業務補助の以外な事実

業務補助等は、2006年の制度改正により公認会計士試験の前後いずれでも認められるようになりました。
ただし、公認会計士試験の合格前に実務の経験を積むメリットは少なく、一般的には公認会計士試験に合格した後に監査法人に就職し、業務補助を行う場合が圧倒的に多いです。