この監査により公認会計士は監査を受ける側の企業よりも上の立場にあるといえる一方で、会計の専門家として監査し、投資家の株式会社に対する信頼を確保しなければなりませんので責任は重大です。
また、この監査業務をするにあたっては公認会計士の多くが「重要性の原則」を採用しています。
監査の目的と重要性
公認会計士の役割は、独立した立場において公正にその会計の適法性・正確性の判断を行うことです。
具体的には、企業の財務情報が正確で適正なものであるかどうかを、会計の専門家として監査して、投資家の株式会社に対する信頼を確保すること、これが公認会計士の役割です。
従って、公認会計士は場合によっては監査を受けた企業にとって不利になる報告も公開することもあります。
また、監査業務は、その目的から責任が大きく、例えば粉飾決算が見抜けなかったなどの理由で、株主に不利益を与えた場合、多額の損害賠償を課されます。
公認会計士と重要性の原則
公認会計士の監査業務は、あくまで、投資家の株式会社に対する信頼を確保することが目的なので、逆に言えばこの信頼を損なわない限り、細かい数字の違いはそれほど問題になりません。
何故、無視してもかまわないのか?
100万、200万は一般人にとっては大金ですが、例えば、億単位の会社の監査をするにあたって、100万、200万レベルの金額の違いがあったしても、会社全体の資本からすれば非常に小さな金額であり、公認会計士にとっては無視してもかまわないレベルです。
むしろこのような事に拘っていれば肝心の監査が滞ることになります。
その為、多くの公認会計士は「重要性の原則」を採用しています。
重要性の原則とは?
「重要性の原則」は会計上の考え方の1つであり、簡単に言えば「重要でない問題はどうでもよろしい」という考え方です。
つまり、Aという会計処理方法 を用いるか、Bという方法を用いるかによって生じる数字の変化が相対的に小さいならば、ABどちらを使おうがかまいはしない、という考え方です。
監査することになる企業の多くでは、数十億~数千億、場合によっては兆という数字を監査することになりますので、全体の数値に大きな影響を与えない問題は素通りしないと監査ができないということですね。