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監査論の特徴

公認会計士試験の必須科目である監査論では、公認会計士の独占業務である会計監査に関する学問で、財務諸表監査を中心に、理論、制度、実務の分野が含まれています。
また、中間財務諸表監査、四半期財務諸表監査、四半期レビュー、内部統制報告書監査、保証業務も含まれます。
なお、監査論は短答式試験、論文式試験両方で出題される科目です。

監査論とは

監査論は金融商品取引法及び会社法に基づく監査制度及び監査諸基準その他の監査理論です。
監査業務を主たる業務とする公認会計士委にとっては、試験に関係なく熟知しておかなければならない知識です。

中間財務諸表監査

財務諸表とは、貸借対照表や損益計算書などに代表される経営に伴う財務の状況を記録、計算、整理し、経理内容を明確にするとともに、株主などに報告するために作成する各種の計算書のことです。
そして、中間財務諸表は1年決算の会社が、企業内容の開示について、適時性の観点から、年度の中間で作成する会計情報のことを言います。
日本では証券取引法適用会社に対してこの実績主義によって、連結中間財務諸表の作成を義務付けています。
中間財務諸表監査はこの中間財務諸表を監査することです。

四半期財務諸表監査

四半期決算で作成する財務諸表(一般的には決算書といいます)を四半期財務諸表といいます。
上場企業にはこの四半期財務諸表の提出が義務付けられています。
四半期財務諸表監査はこの四半期財務諸表を監査することです。

四半期レビュー

上場企業に提出が義務付けられている四半期財務諸表に対する、監査法人もしくは公認会計士のレビュー(=評価)のことです。
その目的は、四半期財務諸表の適正性を消極的形式により、結論を表明することにあり、通常の財務諸表監査と同水準の保証を得る必要はありません。

内部統制報告書監査

内部統制とは簡単に言えば会社が私利私欲に走らないために、健全な会社経営をしていくための仕組み・手法のことです。
そして、内部統制報告書とは内部統制の有効性を評価し、その結果を報告する開示書類のことです。
金融商品取引法で導入され、全ての上場企業に義務付けられました。
内部統制報告書監査はこの内部報告書に対する監査のことです。

保証業務

保証業務は、簡単にいえば、「誰かが一定の規準で作成した情報に対して、別の利用者のために信頼性を付与する」こと、つまり、何らかの算定結果や数値、状況の記述に対して、外部の第三者的な専門家が信頼性を付与することです。典型的な保証業務としては、上場会社などの財務諸表に対する監査や、内部統制に対する監査などが挙げられます。

公認会計士試験における傾向

会計監査は、会計士の独占業務であり、合格後に監査法人等にて監査業務を行う際にも重要になってきますので、監査業務に関連した知識、監査基準、法令、制度概要、職業倫理、概念、理論的背景等の問題が出題されます。

試験のポイント

公認会計士試験の合格後、監査法人で財務諸表監査を行うために必要不可欠となる重要な科目ですので、試験の傾向に関係なくすべての内容を理解する必要があります。

管理会計論の特徴

公認会計士試験の必須科目である管理会計論は、主に原価計算と管理会計が出題されます。
管理会計論は短答式試験、論文式試験両方で出題され、論文式試験では、財務会計論と一緒に会計学として出題されます。

管理会計論とは

管理会計論は原価計算、企業等の内部の経営者の意思決定及び業績管理に役立つ情報を提供することを目的とする会計の理論です。
財務会計論と共に企業会計の一種として扱われています。

公認会計士試験における傾向

公認会計士試験では主に原価計算と管理会計が出題されます。
原価計算は、材料、仕掛品及び製品等の棚卸資産評価並びに製品に関する売上原価の計算について出題され、管理会計は、利益管理、資金管理、戦略的マネジメント等を含み、会計情報等を利用して行う意思決定及び業績管理に関連する内容について出題されます。

試験のポイント

まずは原価計算の計算方法をマスターし、それから関係する理論を押さえるようにするのが効率的です。

財務会計論の特徴

公認会計士試験の必須科目で、最も重要である科目である財務会計論は、主に簿記と財務諸表論が出題されます。
簿記は貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成し、財務諸表論は、財務諸表の作成方法の理論的背景が出題される傾向にあります。
また財務会計論は短答式試験、論文式試験両方で出題され、論文式試験では、管理会計論と一緒に会計学として出題されます。

財務会計論とは

財務会計論とは簿記、財務諸表論、企業等の外部の利害関係者の経済的意思決定に役立つ情報を提供することを目的とする会計の理論のことです。
公認会計士試験の必須科目で、公認会計士にとって最も重要な科目といえます。

税理士試験における傾向

座公認会計士試験では主に主に簿記と財務諸表論が出題されます。
簿記は、簿記の基本原理、仕訳、勘定記入、帳簿組織、決算などが出題され、財務諸表論は、財務諸表作成や理解に必要な会計理論、会計諸規則、諸基準、会計処理手続が出題されます。
その他ステークホルダー(利害関係者)の意思決定に役立つ情報を提供することを目的とする会計理論が出題されることもあります。

試験のポイント

特に簿記について、公認会計士試験では、実際にこれらの決算書を作成することが要求されます。

科目免除制について

短答式試験に合格し、その年の論文式試験に不合格であった場合、受験願書提出時に免除申請を行うことで、翌年および翌々年までの短答式試験が免除されます。
また、論文式試験でも不合格になったとしても試験科目のうち、公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得た科目を有する者については、当該科目が免除されます。
大学教授、博士学位取得者、司法試験合格者等のほか、一定の専門資格者(税理士)、一定の企業などにおける実務経験者、専門職大学院の修士(専門職)の学位修得者に対して試験科目の一部を、申請により免除されることがあります。

各試験の科目免除制

公認会計士試験は社会人を含めた幅広い人材が受験しやすいように、2006年から幅広い免除制度を導入しました。

短答式試験の免除

短答式試験に合格すると、申請することにより、合格発表日から起算して2年間は免除されます。
手続きの方法は簡単で、受験願書提出時に免除申請をすることにより、2年間は論文式試験のみに専念することができます。
なお、短答式試験が免除されても、この試験を毎年受験することも可能であり、合格した場合は短答式試験免除の有効期限が延長されます。

論文式試験の免除(期限付き科目免除基準)

論文式試験全体で合格点に達しない場合、科目ごとに合否を判定し、科目合格となった科目については以後2年間申請により免除されます。
これを「期限付き科目免除基準」といいます。

その他の免除条件

公認会計士試験では、幅広い人材の登用という観点から大学教授、博士学位取得者、司法試験合格者等のほか、一定の専門資格者(税理士)、一定の企業などにおける実務経験者、専門職大学院の修士(専門職)の学位修得者に対して試験科目の一部を、申請により免除されることがあります。

短答式試験の免除

次の条件を満たしている場合、短答式試験が免除、あるいは一部の科目が免除されます。

短答式試験が免除資格

この条件を見たいしている場合、短答式試験が免除が免除されます。

  • 大学等において3年以上商学関連科目の教授、准教授の職にあった者
  • 商学に関する研究により博士の学位を授与された者
  • 大学等において3年以上法学関連科目の教授、准教授の職にあった者
  • 法学に関する研究により博士の学位を授与された者
  • 司法試験合格者

この便所制度により、教授、准教授、博士、司法試験合格者が、公認会計士に参入しやすくなっています。

短答式試験の一部科目免除

次のような条件を満たしている人は、該当する科目が免除されます。

  • 税理士の資格を有する者(税理士試験合格者、弁護士等)や、税理士試験の科目合格者(簿記論、財務諸表論)、上場企業や大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)、国、地方公共団体などにおいて、 会計や監査業務に7年以上従事した者は財務会計論の科目が免除されます。
  • 会計専門職大学院を修了すると、「財務会計論」、「管理会計論」、「監査論」が免除されます。

なお、上場企業や大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)、国、地方公共団体などにおいて、 会計や監査業務に7年以上従事したものが免除を請求する場合、会計業務、監査業務に従事したことがわかる在職証明書や業務の内容が分かる書類、会社案内、従事した期間において監査を受けたことが分かる書類などが必要となります。

論文式試験の免除

次の条件を満たしている場合、該当する科目が免除されます。
なお、論文式試験の場合には全部免除はありません。

  • 大学等において3年以上商学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、「会計学及び経営学」の科目が免除されます。
  • 商学に関する研究により博士の学位を授与された者は、「会計学及び経営学」の科目が免除されます。
  • 大学等において3年以上法学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、「企業法及び民法」の科目が免除されます。
  • 法学に関する研究により博士の学位を授与された者は、「企業法及び民法」の科目が免除されます。
  • 大学等において3年以上経済学関連科目の教授、准教授の職にあった者は、「経済学」の科目が免除されます。
  • 経済学に関する研究により博士の学位を授与された者は、「経済学」の科目が免除されます。
  • 司法試験合格者は「企業法及び民法」の科目が免除されます。
  • 不動産鑑定士試験合格者は「経済学又は民法」が免除されます。
  • 税理士試験合格者は「租税法」が免除されます。
  • 企業会計の基準の設定、原価計算の統一その他の企業会計制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で会計学に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者は「会計学」が免除されます。
  • 監査基準の設定その他の監査制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で監査論に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると審査会が認定した者は「監査論」が免除されます。

多様な人材の確保という観点から商学や法学、経済学の教授、准教授、博士号の学位を持つ人、司法試験、不動産鑑定士、税理士試験合格者には一部の科目が免除されています。
また、業会計制度や監査制度の整備改善業務に従事した人で、審査会に認定されると、会計学や監査論が免除されるといった、実務経験者も公認会計士になりやすい制度になっています

公認会計士試験の日程

公認会計士試験は毎年行われ、短答式試験は12月の第一回試験と5月の第二回試験の合計2回、論文式試験は8月に1回行われます。
合格発表は短答式試験は第一回試験の結果発表は1月中旬頃、第二回試験の結果発表は論月中旬ごろになります。
また論文式試験の結果発表は11月中旬ごろです。カレンダー

公認会計士試験の主なスケジュール

公認会計士試験は次のような流れで行われます。

申込期間

  • 第1回短答式試験:9月上旬~中旬頃まで
  • 第2回短答式試験:2月中旬~下旬頃まで

なお、論文式試験は短答式試験の合格者のみが受験できるので、受験対象者に別途で試験案内が送付されることになります。

試験日程

  • 第1回短答式試験:毎年12月中旬頃
  • 第2回短答式試験:毎年5月下旬頃
  • 論文式試験:毎年8月下旬の3日間
短答式試験の流れ
試験科目 試験時間
財務会計論 120分
管理会計論 60分
監査論 60分
企業法「 60分
論文式試験の流れ

論文式試験は3日間にわたって行われます。

日程 試験科目 試験時間
1日目 監査論 120分
租税法 120分
2日目 会計学 300分
3日目 企業法 120分
選択科目 120分

結果発表

  • 第1回短答式試験合格発表:1月中旬頃
  • 第2回短答式試験合格発表:6月中旬頃
  • 論文式試験合格発表:11月中旬頃

合格基準はどの程度?

短答式試験の合格基準は総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で合格となります。
また、論文式試験の合格基準は52 %の得点比率を基準とします。
ただし、公認会計士試験は受験者のうち上位の一定割合が合格するという相対評価の試験であるため、基準値を満たしていても合格できない場合があるので注意が必要です。

公認会計士試験の合格基準

公認会計士試験では科目ごとではなく、全4科目の総点数で判定されます。
また、免除科目がある場合の合否は、免除科目を除いた他科目の合計得点の比率で判定されます

短答式試験の合格基準

総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で合格となります。
ただし、1科目につき、その満点の40%に満たないもの場合、不合格となります。

論文式試験の合格基準

52 %の得点比率を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で合格となります。
ただし、1科目につき、その満点の40%に満たない場合、不合格となります。

公認会計士の合格率

公認会計士試験の合格率は、2006年度以前は毎年8%前後で推移していましたが、実務界の要請や国策により2007年度及び2008年度はその約2倍近 くに上昇しました。
しかし、急激な合格者の増加により監査法人での人余りが顕著となり、未就職者問題が発生したこと、さらには景気の悪化により公認会計士を必要とする上場企業そのものが減少してしまったことにより需要が減ったこともあって、2009年度以降はほぼ2006年度 以前の水準に戻され、2014年現在もその傾向は続いています。

公認会計士試験の形式を知ろう

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2つの試験から成ります。
短答式試験は「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目、論文式試験は「会計学」(財務会計論+管理会計論)「監査論」「企業法」「統計学」の4科目に加え、「経営学」「経済学」「民放」「統計学」のなかから1科目を選択して受験することになります。
また、短答式試験に合格した人だけが論文式試験を受験することができ、この論文式試験に合格すれば晴れて公認会計士試験合格者となります。

短答式試験について

試験形式はマークシート方式で、「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目を受験します。
試験時間は「財務会計論」のみが120分で、ほかの3つは60分となります。
この短答式試験に合格した人だけが論文式試験を受験することができます。

論文式試験について

試験形式は記述式で、「会計学」(財務会計論+管理会計論)「監査論」「企業法」「統計学」の4科目に加え、「経営学」「経済学」「民放」「統計学」のなかから1科目を選択した合計5科目を受験することになります。
試験時間は「会計学」のみが300分、他の科目は全て120分となります。
この論文試験に合格すれば、公認会計士試験合格者になります。